「 威張り屋のソーラさん その四 」
 (でも芸はたのしいよ)


 考えてみると、彼女たちは、食事をする前に、
何故こんな芸をやらなくてはいけないのか。
これは根本的問題としてあるかもしれない。

 腹は減っている。目の前にご馳走はある。
それなのになぜ、
ご主人のくだらないセレモニーにつき合わされなければならないのか。
人間であれば、3歳の子供でも、きっと不平を言うにちがいない。

 彼女たちは、犬であるから、
きっとそこのところは、気づかずにいてくれると思っていたのであるが。
 また、実のところ、いつそこに気づいて、自我に目覚めるのでは、
とひやひやしているところもあるのである。

 しかし、ソーラさんは、自分と言うものががっちりとあるのである。
食事の芸でさえ、自らの意見を主張し始めているのである。

 あるいは、これまで付き合ってきた犬たちでさえ、
もしかするとそれに気づいていながら、
アホなご主人に合わせてくれていたかもしれない。
いや、きっとそれが事実なのである。

 そういえば ワン太郎さんという犬とも十二年間暮らしたのである。
彼はやはり何でもわかっていたのである。
それは、またの機会に話したい。

 このソーラさんは、これまでの付きあった犬たちのキャラクターとかなり違っていて、
ご主人に合わせてくれないのである。
 しかし、これまでやさしく、わたしに合わせてくれた犬たちへの感謝もこめて、
ソーラさんには、わたしはいつも、やさしいのである。
 
 でも、芸を嫌がる時ばかりではない。
喜んで張り切って、何でもやってくれるときもある。
 暇にしていると、自分からよってきてさえ、お手をしたり、お鼻をしてくるときもある。
少し遊びましょうよと言う訳だ。
 散歩とかたっぷり行って、
昼間におうふくろさんが来て遊んでもらっていたりすると、
すごくご機嫌なのである。
 張り切って何でもやってくれる。

 機嫌が悪いときは、これまで話したように、うなりさえするし、
部屋の中でおしっこさえして歩くのである。
申し訳なさそうなときもあるが、たいていは、確信犯でふてぶてしいのである。

 でも、妹の子供のはるなちゃんが来たときには、うなったりせず、
けっこう根気よく遊んでくれていた。何でもよく分かっているのだ。
 そして、わがままなソーラさんではあるが、
基本的には、やさいしよい性格なのだ。

                  ( おしまい )   

                          ( 2002年3月中旬 ) 

   (このページに流れている曲は「休憩時間」です。ねむさんの曲を使わせていただいています。うきうきする楽しい曲です。聞いてください。)
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