「 うさぎとかめの大決戦 その八 」
(最後の試練)




   それにしても、あの玉手箱の中には、いったい何が入っているのだろう。

 見たいなー。

 ……
 心の声は黙っている……。


 さっきのアスかめさんの声がよみがえる。
 さて、Questionですよ。(^^)
この玉手箱の中には何が入っているでしょうか?
 それは、この旗をしっかり握ってぬきっとって、審判さんに分かるように空に向けて大きく振って勝負をつけて、

  そ・れ・か・ら・

開けてね。(^〜^)

 さーーーーて、何ーーーがーーーーー、入ってーーー、
いーーー、るーーー、でーーー、しょうーーー、かーーーーー?

 キャハハハハーーーー。(^〜^)
      キャハハハハーーーー。(^〜^)
            キャハハハハーーーー。(^〜^)



 うーーーーーん。
 あの玉手箱の中には、いったい何が入っているのだろう。

 見たいなー。
   見たいなー。

 …… ……
 心の声は、まだ黙っている……。

 時間もあることだし、ちょっとくらい見てもいいだろう。
とうさーラさんは思うのである。

 見たいなー。
    見たいなー。
       見たいなー。

 …… …… ……
 心の声は、まだまだ黙っている……。

 あー、どうしても見たいー。旗抜くより先に見たいー。

 見たいなー。
    見たいなー。
       見たいなー。
          見たいなー。

 …… …… …… ……
 心の声は、まだまだまだなんとか黙っている……。

 あーー、どうしてもみたいよー。旗なんて抜いてる場合じゃないよ。

 見たいなー。
    見たいなー。
       見たいなー。
          見たいなー。
             見たいなー。


 心の声がつぶやく……。

 …………

 ………………


 そうね。じゃーー、ちょっとだけ……。


 オーーイーー。まじっすか(>о<)

 ご先祖、しっかりしてくれよー。
うさーラさんはブッたまげる。

 あんな玉手箱開けたら、煙が出てきて、時間が止まって、ばあ様になっちゃうじゃないですかー。そんなの分かりきってるよー。アホかー。


 その頃、アスかめさんは、ハイスピーで最初の丘の上にたどり着いていた。そこから、うさーラさんへテラパシーを送ったのである。
 アスかめさんも繰り返される戦いの中で工夫をしていた。くだりの坂道では、歩くよりも、その体形を利用して転がった方がずっと早いのである。
 アスかめさんがうさーラさんの玉手箱の試練の壁を突破したことを知ったのは、坂をゴロゴロと転がり降りている途中のことであった。

 うさーラさんの心の中に、ご先祖たちのテラパシーが宿っていることは、アスかめさんもうすうす気付いていたのである。
アスかめさんの緻密な作戦では、ご先祖たちのテラパシーの声は、きっと玉手箱をのぞきたがるうさーラさんを止めることだろうと読んでいた。しかし、止められれば止められるほどに、うさーラさんは、どうしても玉手箱の中をのぞきたくなるだろうと。向こうの小山のふもとまでたどり着く間にうさーラさんは、何度もご先祖の心の声にその心のありようを止められることだろう。
この最後のシーンでは、うさーラさんには、もうそれにしたがう事に嫌気がさしているはずだろう。きっと、うさーラさんは、玉手箱をあけてしまうはずだ。
アスかめさんの読みはこうであった。

 しかし、まさかご先祖の心の声までがあのような出方をするとは、さすがのアスかめさんにも予測できなかったのである。

 勝負は時の運。ほんとにうさーラさんの勝利は、紙一重の偶然っと言ってもいいのである。勝利の女神は、うさーラさんに微笑んだのである。

 アスかめさんは、かなりショックだった。
そのため、さすがのアスかめさんも、坂道を転がりながらボディーバランスを崩してしまった。

 ちょっぽん。
(アスかめさんがせせらぎの小川に落ちる音。)


 うさーラさんは、きわどいところで、ご先祖の反面教師的ファインプレーによって辛くも、うさぎとしてはじめて勝利をかめチーム代表のアスかめさんから勝ち取ったのであった。

 うさーラさんは、アスかめさんの偉大さを一番よく知る人となった。のちにふたりは互いの健闘を讃えあったのである。


      (おしまい。最後まで読んでくれた人ほんとにありがとう。^^)


(このページに流れている曲は、「Happy Town Sunday」です。Nemさんの作品を使わせて頂いています。第二部のテーマ曲でもあります。また、第一部でもNemさんの作品のを使わせて頂いています。)



                     (2002.12.22)