マッキーさんは、ソーラさんにあこがれている。
しかし、ソーラさんがいまどういう状況に置かれているのか
情報が不足している。そして、それを知る方法もないのである。
もしかすると、実は結婚していたりするかもしれない。
そんな、あほな友達がいたなー。(これはフィクションです)
古いけれど、かぐや姫とかのうたにも、
「電話で彼女の母親に愛を告白しまーした♪」
とかもある。情報シュウシュウが大切である。
しかし、マッキーさんの場合、カンサツということが充分に行えない。
きょうは、機嫌がいいから、話してもよさそうとか。
きょうは、元気がないみたいだから、声をかけて励まさなくちゃーとか
そういう情報は皆無である。
こんなことが出来るなら、マッキーさんは苦労しないのである。
そして、そのようことが出来るとしたら、もしかすると、少し悪いことも考えるかも知れないと思うのである。
が、それどころではない。
朝、おはようと声をかけるくらいだが、それもすれ違いざまにやっと
あこがれのソーラさんであることに気付く程度である。
マッキーさんは思うのである。
こうもりは、自分の高周波の声を周囲に反射させることにより、すべてを知るのである。
このように、心を研ぎ澄まして、心の目で見るのである。
小さな石を、池のにそっと投げ入れる。
ぽちゃんとかすかな音がして、小さな波が静かに均等に広がってゆく。
この波のかすかなささやきを聞き分け静かに瞑想に沈むのである。
これですべてを知らなくてはならないのである。
マッキーさんは小石をもつ。そして、シンと静まり返った湖面にそのささやかな石を投げ入れる。
どぼぉーーーん!!? ザァバァー!!
えっ!
小石だよなー。
あー、びっくりした。
まったくよく分からないことが多いのである。
(マッキーさんの方が、一般的にみてよく分からないのである)
そういえば、以前は、小石どころか、ものすごく大きな石をよいこらしょっと頭の上まで高々と持ち上げて、おりゃっとばかりに……。それでは池の中の鯉まで死んでしまう!
まあそれは置いておいて。
小石瞑想法は理論的には完璧である。
そこで、マッキーさんはある日、あこがれのソーラさんと話す機会があったので
さっそく、小石を投げて見ることにする。
「あのー」
「はっ」
「今日は、その、曇ってますねー」
「へっ??」
湖面に静かに広がってゆく波のかすかな音さえ聞き分けるべくマッキーさん
は心を研ぎ澄ますのであった。
しかし、まったく、何ひとつとして、見当もつかないことだらけなのであった。
ちょっと話はずれるのかも知れない。
コミュニケーションでも、たとえば恋が芽生えるのでも、間合いが必要である。
小次郎ソーラさんと武蔵マッキーさんは巌流島で、対峙している。
小次郎ソーラさんの間合いは、つばめ返しの長刀である。
武蔵マッキーさんは、その間合いに入り込むべく、船の上でいろいろ作戦をねったあげく、
船の櫂を削ってつばめ返しの長刀よりわずかに長い間合いの木剣を作った。
これが長すぎると、スピードの面で不利なのである。
そして、勝負はお互いに一撃の下に決するであろう。
マッキーさんは胴をねらう、櫂の木剣が空を切る。体制を立て直すため後ろへわずかに引く。
すかさず、ここぞと小次郎ソーラさんは必殺の一撃を打ち込んでくる。
武蔵マッキーさんのハチマキが真っ二つに切れて中に舞う。
その次の瞬間、櫂の木剣が一撃のもとに小次郎ソーラさんの頭上へと。
あれっと、問題は恋の間合いであった。
このつばめ返しの長刀の間合いが、校庭の木陰とか言うから厄介なのである。
そのうちに、よいことを思いついた。
べてらんアスカさんなら、ソーラさん情報を握っていることだろう。
しめしめ。
「アスカさん、こんちわ〜。今日は、一段とお元気ですね。
ところで、ソーラさんは、美人ですよね。なんか教えてください。」
「そんなの人に聞くな。自分で聞け。アホが。」
なにかやけに機嫌の悪いアスカさんである。何かまずいことを言ったんだろうか?
(おしまい)
やさしい言葉