ぴょンぴょンぴょンぴょン……。
丘を下っていった。すると今度は、やさしく流れる小川を渡った。
うさぎ跳びでかけてきたうさーラさんには、その水の冷たさがとても気持ちがいいのであった。
秋の小川もさらさら行くよ……♪
どこからか、清らかな歌が聞こえるような気がした。
また、ふとあの気持ちが湧き起こる。
これまでこの競争は幾度も行われてきた。
この決戦は一生に一回だけ。負ければもう後がない。
はたして、この状況でご先祖たちは本当に負けたのだろうか?
そんなばっかなー!?
うっそー!(°о°)
遥かに、アスかめは後方である。
丘を越えた今となっては、アスかめさんの姿はおろか、出発地点すらも、もう見ることは出来ない。
小川のせせらぎと鳥の歌声だけである。
あまりにも、圧倒的なこの差。
普通に考えれば、まずはー負けるはずもない。
いや、どう考えても負けないだろう。
こんなに一生懸命に飛び跳ねている自分はいったい何なんだろう(。。)
なんかバカバカしくなって来たぞー。¬(°〜°)Г
さっきよりも、バカバカしさはよりいっそう強くなった。
どんなにアスかめさんが急いでも、どうせ晩までかかるあろう。ここらでちょっと一休みして、昼寝はしないにしても、ちょっとPHSでも取り出して、友達とお話でも。
状況報告とか。
あー、もしもし……。
あー、もしもしかめよ、かめさんよ……。
おっと、これはいけない。
これなんだな!(°о°)
これなんだな!(°о°)
これで、ご先祖は二回目の競争もやられた訳だ。
油断大敵!そして、もう一度、油断大敵。
同じ失敗は、やっぱり、しないぞー。
小川の水をすくって飲んだ。飛び跳ねてきたので息が切れている。冷たい清らかな水はことのほかにうまい。
さっき、聞こえていたささやかな歌はもう聞こえない。
うさーラさんはこのせせらぎの小川の難関も越えてゆくのであった。
昔、木登り名人がいた。その方がお弟子さんの木登りをみてアドバイスをしていたとのこと。
ところが、木登り名人さんは、一言も口を開かない。
お弟子さんは木のてっぺん。見るからに恐ろしい。何かアドバイスくれてもいいんじゃないのー。
しかし名人は見てるだけー。
名人が口を開いたのは、お弟子が下の方に降りてきて、最後、もう大丈夫とみんながはホっとした瞬間だった。
「おい、気をつけろよ」
へっなんでー。
そう、みんなも、自分も危ないぞーと思っているうちはまだ安全なのである。油断こそが一番恐ろしいことなのだ。その意味でこの、せせらぎの小川は、ちょっと見以上に実は、どんな難関よりも、手ごわい難関なのであった。
その難関も、うさーラさんは、何とか通り過ぎる。
記憶の中で、
油断はダメよーん、
油断はダメよーん、
という声が
せせらぎの歌の威力を消すために強い力で働いているのである。
これもご先祖たちから受け継がれた能力なのだ。
普通のうさぎなどこの声の前で立っていることさえ出来ないのである。