せせらぎの小川を越えてまた小高い丘を登る。
この丘を越えてなだらかな坂道を下れば‘向こうの小山のふもと’のゴールにたどり着く。
丘の坂道も、気を抜かないうさーラさんはぴょンぴょンとマイペースを崩さずに登ってゆく。さすがにここは体力的にもちょっとは息が切れるが、そんなことはたいしたことじゃない。
丘の上は、またしてものどかそのもの、坂を登ってきた体には
吹く風が、ことさらに気持ちがいい。この丘の上からは、さっき越えてきた丘が見える。せせらぎの小川も見える。出発地点も遥かに見える。
秋の風は、ご苦労さん。そして、もう、こんなのやめちゃってさー、旅にでも出かけませんか……とささやいている。
越えてきた丘にさえ、アスかめさんの姿はまったくもって、どこにも見当たらないのだ。。
そしてやはりいままでと同じようにあの想いが……。
これまでこの競争は幾度も行われてきた。
この決戦は一生に一回だけ。負ければもう後がない。
はたして、この状況でご先祖たちは本当に負けたのだろうか?
そんなばっかなー!?
うっそー!(°о°)
秋風は優しくほほをなでながら誘う。
さあ、もうこんなのやめちゃおうよ。一緒に、旅に出かけようよー♪
あまりにも、圧倒的なこの差。
普通に考えれば、まずはー負けるはずもない。
いや、どう考えてもけっして、けっして負けないだろう。
こんなに一生懸命に飛び跳ねている自分はいったい何なんだろう(。。)
一生懸命坂を飛び跳ねてきた(。。)
なんかバカバカしくなって来たぞー。¬(°〜°)Г
さっきよりも、バカバカしさはよりいっそうますます強くなった。
やめちまえ。アホらしい。人を馬鹿にしている。
苦しさの向こうに何か大切なものがあるのならば、頑張れるかもしれない。
でも、この競争は、何の意味もない……。うさーラさんはそう思うのである。
どんなにアスかめさんが急いでも、どうせ晩までかかるあろう。ここらでちょっと一休みして……。
もう、昼寝なんかしない……。
ちょっとPHSでも取り出してお話を……。
いや、もう、電話なんかしない……。
もうやめよー。
そう、もうやめて帰るのである。
もうやっていられないのだ。
うさーラさんは、心の中でそうつぶやいた。
しかし、その瞬間自分の言葉にハッっとしたのである。
おっと、これはいけない。
これなんだな!(°о°)
これなんだな!(°о°)
これなんだな!(°о°)
これで、ご先祖は3回目もやられた訳だ。
油断大敵!そして、もう一度、油断大敵。
そして、最後まであきらめないことが、根気よくやりきることが大切なのだ。
そう、そうなのだ。同じ失敗は、やっぱり、してはならない。
心の中で、喜びの声が聞こえる。
それでいい。きっと、勝ってね。
それでいい。さあ、また飛び跳ねて。前進ー。
(心の中の声は、ご先祖様たちのようだ。)
そう、うさーラさんには分かりかけていたのである。
アスかめさんが敵なのではない。本当に戦うべきは自分自身の心なのだということが。
秋風の丘も突破して、うさーラさんは進むのであった。