「そうなのよ、わたしこの前見ちゃったのよ。ちょっと見えにくい場所よ。殿方には特にね。ふっくりってね。コブとりじいさんのコブみたいな感じよ。出てるのよー。あれがヘルニアっていうのねー。」
「……」
「ねえ、ご主人……。わたしね思うんだけどさ。あんなに美しいソーラさんがヘルニアだなんて残念ねー。わたしみたいな年になれば、別にどってことないのよ。でもあんなに美しいソーラさんが実は、ぷっくりヘルニアだなんてねー。あんなに綺麗なだけにホーーんとに残念よねー。もー。ぷっくりだものねー。かわいそうなソーラさん。あー、かわそう。かわいそう。」
「……」
「これは、秘密ですよ。ここだけの話。誰にも言っちゃーダメですよ。ナイショ。ナイショ。」
ソーラさんが水を飲み終わって戻ってくる。
「ご主人、そろそろおイモのスライスは出ないの……。お願いよー。じゃねー・」
アスカさんは行ってしまった。
ソーラさんのヘルニアは分かっている。もう昔からある。
季節や体調によって大きくなったり、小さくなったりする。でもそれは、今のところ手術する必要はない。ちょっとかっこ悪いけれど、大事にしてつきあってゆくしかない。まあ確かに、完璧な美しさを誇るソーラさんだけに本人もちょっと悔しいだろうけれど……。まあ仕方もないことだ。
でも、まあ、知る人はそうはいないだろう。まあ出べそみたいなものだ。たいしたことじゃない。
その四