また、別の日のことである。ひまである。やっぱひま。
いつものようにテレビを見ていた。
ソーラさんとアスカさんは、ベランダから部屋の中に入れてもらって、台所の中をノコノコと気ままに歩き回っている。
アスカさんは台所のゴミ袋がどうしても気になって仕方がないらしい。
わたしの方をちらった見ては、ゴミ袋から遠ざかり、しばらくしてまたもやゴミ袋の側へ寄っていくのである。何でだろ?
そんな時、ソーラさんがわたしのところへ、すっとさりげなく寄ってきて……。
「ご主人、ちょっと、ちょっと……。」
「何でしょう……。」
「あのねー…………。」
「へ……」
(声が小さくて聞き取りにくい)
「あのねー……。」
「なに……」
「ここだけの話なんですけど……。ナイショですよ。秘密、誰にも言っちゃダメですよ。」
やけにもったいぶるのである。
「実は……。実はねー、じ・つ・は……、アスカさんは……、ヨ・ウ・ツ・ウ……なんですよ……」
「……へっ、そうなの!」
(どうしてこんな風に答えてしまうだろう!? 知ってるんだよなー。)
「アスカさんが腰痛だなんて、ホントにお気の毒よね。それほどお年でもないと思うけれど、お若く見えるものねー。きっと無理なさってるのねー。わたしあまり無理なさらない方がいいと思うのよ。でもあの方、ああいう性分だからついつい頑張っちゃうんでしょうね。お若いと思っていたけれどやっぱりお体大切にしないとねー。何時だったか何日もねこんだことがあったそうよ。ホントにねー。お気の毒よ。寒さがねー。でもこれは、誰にも言っちゃダメですよ。ナイショですよ。ナイショ……。」
その五