「 ウ・ワ・サ その六 」

                        


 うつらうつらしたとき……。

 小声でワンワンとなく声がする。

 布団の敷いてある部屋からもベランダへ出ることが出来る。
でも、犬小屋、その他で通路は遮断されているので、ソーラさんとアスカさんはこの部屋の前のベランダには来られない。

 そっとそのサッシを開けてみる。音を立てないように。

 すると、ソーラさんとアスカさんの話し声が聞こえてくるのである。
ふたりは、わたしが、いつものようにバスに乗って出かけたとオ・モッテ・イ・ルのである。

 「だいたいさー、ご主人さーケチよ。どケチ。ホントにケチ。おイモのスライスなんか、バームクーヘンと同じで薄ければ薄いほど美味しくなるとか言っちゃて、もう、それはすごい薄さ。あんなのは、ケチの言い訳にしか過ぎないのよ。」

 「そうそう……。それに、威張りや、人のこと威張りやとか言ってるけどサー、自分の方がよっぽど頑固よ。何が何でも、人におまわりとかさせる気でいるんだからねー。生意気よー。十年早いのよね。自分が臥せでもやってみればいいのよ。そうすれば人の気持ちが分かるわよ。」

 「ほんと、ほんと、ソーラさんの言うとおり。わたしなんかさー。臥せとかやらないでしょ。わたしあれ嫌いなのよねー。ペタってお腹を床に着けるとさー、お腹が冷えるのよねー。ヒヤって冷たい訳よ。だから、わたしはね、臥せはやらないのよ。出来てもね。ただやらないだけ……。ご主人は。それを何時までたっても出来ないなんて、しょうもないように人のことをいってるけどさー。まあー、言わせて置けばいいのよ。へーだ。」


         その七